ホームページコラム サムネイル画像79

79.社長の考え方が炙り出されるとき

社長がいなくても回る工場は
自らできる人に頼る
社長がいないと止まる工場は
他に責任を転嫁する

近年、少子化に歯止めをかける対策として、さまざまな制度がどんどん作られ、改正されています。

割とよく聞く経営者の声として
「制度ばかり良くなっていくけど、事務負担が増えて仕方がない」
「こちら(経営者側)より社員の方が詳しくて、ついていけない」
さらに厳しくいう経営者もいます。特に、若い頃にそんな制度などなかった人たちにとっては、「そんな制度必要なのか?」と理解に苦しみながら対応する方も。

実際のところ、100人以上いるような大きな会社でひとりが育休取るのと、10人そこそこの会社でそうなるのとでは、業務へのインパクトが全く異なります。小さな会社では死活問題です。だからと言って、その会社の社長が、育休に反対しているとか、社員がそのような状況になることを否定するようなことは、私の周りではあまり耳にしません。

私の会社でも、この10年で4名の育休取得者がいます。

20人未満で1人抜けると、それは大変ではありますが、今日言われて明日から育休でいなくなるということはありません。通常数ヶ月前から分かることです。

そして、お腹が大きくなっていく人に今まで通りの作業をしてもらっていて大丈夫なのか、と考えますから、その時点でどんな対応が必要か、また、実際に産休・育休に入ったらどういう体制なら対応可能なのか、考える時間はたくさんあるはずです。

 

社長が「そんな制度必要なのか?」っていう言葉まで出てしまうにはそれなりに理由があるのではないでしょうか。

私が知っている事例で、次のようなものがあります。

仕事はなかなか覚えない、わからないことがあっても聞いてこないのに、育休制度のことはよく調べていて、こういう制度があるけど使えるか、これを使っても評価に影響はないか?などそういう主張はしっかりしてくる社員。

辞める前提でありながらも、育休制度をフル活用した方がいい、もらえるものはしっかりもらったら、と教えてもらったらしく、育休も残りあと1か月ちょっとというところで、さあ、復帰に向けてどうしようかと話をしようとしたところ、「子どもが目を離せない状況で、自分も体調がなかなか戻らないので働けそうにない」と、どうにも引き留めようもない理由を告げられ退職に至る社員。

「国の制度」だから、全員に同じように適用しなければならない、と仕方なく事務負担を抱え、社内に残り一人分の穴を全員で何とか埋めようと努力する社員、残業が増えてしまう社員、経費もかさむと思いながらも、社長がどんな感情を持とうとも、会社側にどんな理由があろうとも、粛々と対処するしかないのです。
モヤモヤをぶつける先などありません。

制度の良し悪しを言っているのでもなければ、社員の対応に対する愚痴を吐いているわけでもありません。

世の中そのようにして変化していくわけですから、愚痴を言っていても仕方がないのです。
なんせ、育休制度をフル活用し、いろいろな補助を受け取った本人でさえ、十分でないとか愚痴を言っているわけですから・・・。

自分の親世代は、「育休なんて何で必要なの?働く気ないの?」っていう人もいます。「辞めて子育てに集中した方が子供のため」「また他を探せばいいじゃない、今はいくらでも仕事あるでしょ」という人もいます。それも正論なのだと思いますが、自分の時代からもう50年くらい経ってしまっているわけですから、同じようにいくはずがありません。

事務負担も、月に数万くらいで済むんなら社労士に任せればいい、という人もいます。これも正論でしょう。大企業から小さな数人の企業まで一律に決められた制度ですから、人が足りないからやらないは通りません。ひとり事務員を雇うよりはるかに安い。

ただ、これも値段の問題ではないでしょう。育休制度の運用について、社労士が法令が変更になったことを教えてくれたり、届け出などの事務手続きなど多くの作業をやってくれますが、社員とトラブルが起きた時、それを社労士は責任をとってくれません。矢面に立たされるのは社長なんです。

結局、全てのことについて、最終的に会社を守ってくれるわけではありません。国も、社労士も、社員も。
その全ては、ある時期にたまたま縁があっていっしょに仕事をしてくれる人、入れ替わり、変更などがあることを前提として考えないといけないということです。

法令はいつどんなものができるかわかりませんが、今日から急に施行されるということはありません。
社労士は、あくまでも専門家です。経営は知りません。
社員の1番の目的は、自分の人生を生きることです。今、その会社にいるのは会社のためにいるのではなく、たくさんいろいろな仕事をするうちの一瞬のタイミングです。

ですから、社長も今経営している会社は、自分で守るしかなく、いろんなものが入れ替わり立ち替わりしながら、変化しないところは変化させない、変化しなければいけないところは変化させながら、上がったり下がったりしながら、長く見たら右肩上がりになっている、そういう結果が残せればいいんです。

他に頼ることは必要です。いつまでも当てにしてはいけません。

真に信じることができるのは自分だけです。
足りないところは他に頼り、何かを当てにせず、自分で作り上げる。これしかありません。

 

Book

著者新刊

社員だけで回って儲かる
「工場自動化経営」の3大ポイント

「カイゼン」を超える!自主的に動く仕組みづくりで、工場経営を自動化する。 現場で実践しながら指導する異色のコンサルタントが、空理空論一切なしで解説。

Amazonで見る →

Seminar

中小製造業・加工業のための
社長のAI活用経営法

最小限の投資で、生産性の大幅向上と自動稼ぎ装置化を実現する具体戦略

第1回

2026年 7月21日(火)

第2回

2026年 9月18日(金)

会場:東京・内神田(JCPO主催) オンライン参加対応 即時受付対応

▶ セミナーに申し込む