社長がいなくても回る工場は、社長の欲が仕組みになっている
社長がいないと止まる工場は、社長がやりたいようにやっている
ある社長の休日です。
休日なのに、現場で発生したクレーム対策のために、いろいろ試行錯誤していました。
材料や設備に問題はなさそう、作業者もマニュアル通りにやっている、しかし、作業者がその手順通りにやってくれれば確かに問題ないが、ちょっと集中力が途切れたら、ミスが出るかもしれない、ミスを出させてしまうかもしれない・・・と誰もいない現場の設備の前で、あれこれ妄想を膨らませていました。
そして、こんなものがあったら、作業者のミスを防ぐことができ、人の集中力任せの作業から抜け出せるのではないか・・・。
そんなことを思いついた時、社長は電気回路の勉強をし始めました。
今まで、叩く、削る、磨くなど、自分の手先の感覚を信じて仕事をしてきましたが、電気回路はさすがに感覚ではどうにもなりません。一歩間違えれば、火災だって引き起こす可能性があります。その装置のせいで、作業ミスを防ぐどころか、怪我をさせてしまうかもしれません。
それでも社長は、Google先生に相談しながら、自分の頭の中にある完成品を目指し作り上げていったのです。
周りの社長からは、「そんなの社員に任せれば」「業者に頼んだら作ってくれるんじゃない?」など、当たり前といえば当たり前の「助言」をしてくれます。
しかし、社長はそれを選びませんでした。いや、選べませんでした。
社長の欲と判断
社長がやるべき仕事はたくさんあります。
現場を回すための指示
新たな事業のための企画、開発
人手不足解消のための採用活動
退職されないための社員とのやり取り
職場環境の改善
銀行に納得してもらうための計画作り
などなど、あげればキリがありません。
そういう時に、突然かかってくる営業電話、突然の訪問者、仮に今の仕事にメリットがあるかもしれないものでも、自分のペースを乱される、時間を横取りされるものは、ホントに迷惑です。忙しさが増幅します。
そして、「あの社長は優雅に過ごしているのに、なぜ、自分はこんなに忙しいんだろう」、と考えたことはないでしょうか。
前提として、「社長の仕事って何?」っていうことが重要です。
前に挙げた社長がやるべき仕事とは、なぜやるべき仕事となってしまっているのでしょうか。
今までずっとやってきているからと受け身のようにやっている社長もいれば、突然の営業電話や訪問者により、「うまいこと」を言われて急に作業が増えてしまう社長もいます。
社長の仕事の定義を、事業を拡大すること、新規事業を立ち上げること、商品開発すること、などなど、そのようなひとつひとつに囚われると、本当の社長の仕事を見失います。
メディアでよく出てくる良い会社と言われる会社の社長が出てくるのは、おおよそ、事業が数年で何倍にも拡大した、支店や店舗が全国に何百店舗に増えた、年商が数年で数百億まで伸びた、などのような数値化できるものばかりで、それができていないと淘汰されると刷り込まれています。したがって、全国に300万社以上ある企業の中のほんの数件、そしてほとんどのネタは大企業中心で時々異質な中小企業の話が出てくるくらいで、稀で特別な結果を出した企業だからメディアに出てくるわけなのですが、世の中の社長は、そういうものを参考にしてやり始めたりしてしまうわけです。
ですから、今回っている仕事もあるのに、さらに何かを追加すれば忙しくなるのは当然です。しかも、すべての環境が違うわけですから、できるはずがありません。
もちろん、今回のコラムは、メディアの話を聞いてないけないということを伝えたいのではありません。
社長の会社の「ホントの問題」ってなんでしょうか?
そして、その課題を解決するのは誰でしょうか?
まず、多くの社長が、「ホントの問題」を見誤っています。原因は、先ほどあげたメディアによる影響も大きいと思います。それを世の中の普通と考え動く行政が発信する制度や補助金は、ホントの問題を解決するでしょうか?
課題を解決するのは誰でしょうか?という問いがそもそも間違っているのかもしれませんが、こういうと「社長」となってしまうんですよね。社長自身、そういう責任感があるのはとても真っ当なことです。社長がこの質問に対して、あの部署、あの管理職、と言ってしまう時点で、実際の作業はそうかもしれませんが、立場をわきまえる必要があり、言葉を選ぶべきです。
そして、ここまでは一般論です。
社長が抱える「ホントの問題」は、
「社長が思い描く会社になっていない」
ということです。
言葉を変えただけにように見えるかもしれませんが、会社の成り立ちから考えなければいけません。
この会社は、社長が何かしらの思いを持って、社長の欲が爆発して出来上がったものではないでしょうか。創業者ほど、やりたいことをやっただけと軽く言われますが、一般のサラリーマンが、いくらやりたいことがあってもなかなか実現できないのが事業を始めることです。
ですからそれは相当な欲の塊です。しかもそれは誰にも同じものはありません。製造業、小売業、飲食業などなどさまざまな業種がありますが、社長の欲は人それぞれです。
たくさん雇用して大きな工場にしたいという社長もいれば、巨大な工場の中にロボットしか働いていない工場にしたいという社長もいます。人それぞれ社長が抱えるホントの問題が違うのです。違って当たり前なのです。
管理部門は業種に関係なく共通とよく言われます。人が行う作業まで落とし込めばほとんど変わりません。しかし、社長がどのような管理をしたいのか、それは人それぞれです。最終的に人がチェックしないとダメって思う社長もいれば、AIが判断した方が確率的に間違いがない、と考える社長もいます。
人それぞれですから、それぞれ「こうでなければならない」「こういう状態を目指したい」というものはあって当然で、それがメディアに出たら正解、ということは全く違います。
自分の欲の塊である会社を自分の思うように作り上げたいのですから、それは当然「自分がやらないと気が済まない」という状況になって当然で、そうなれば必然的に忙しくなります。
問題は、「そのままでいいのか?」ということです。
自分の思ったように、自分のペースで自分だけの力でやり切る。
それは出来上がった時の達成感はとても素晴らしいものだと思います。
しかし、多くの成功者は、必ず周りに感謝しています。
ひとりで孤独と闘っているかのように見えるフルマラソンも、優勝した人のコメントはほぼ100%、周りへの感謝があります。逆を言えば、そのレースが始まるまで、多くの人に頼ってきたということです。
良い取引先と良い関係を構築して頼る、社員に作業指示をして駒のように使うのではなく頼ってお願いする、など、自分の思うようにするために、自分がやらない選択をし、周りの協力を得るという仕事は、社長にとってとても重要な仕事です。
そう考えると、冒頭の社長の電子回路の勉強からクレーム対策のはなし、全てを自分の思った通りにしたいから、全て自分でやるっていうのは違いますよね。
電子回路を社員に1から教えるわけにもいかないし、それを作れる業者に頼めばクレーム対策になるかと言えばそれも違う。これを社長が全部やる、誰かに丸投げする、ではありません。社長は、どんな解決方法で向かうのかということを決めなければいけません。
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