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81. ITやAIを難しくしているもの

社長がいなくても回る工場は
専門家の力を借りる
社長がいないと止まる工場は
専門家に頼り切る

業務にAIを導入したいんだけど、何から手をつければいいのかわからない。
ということで、ある社長が、エンジニアを紹介されたとのこと。
最初のコンサルティングではこんなことをしたんですよーと、教えてくださったのですが、1時間かけて、社長が持つPCで生成AIを使えるよう設定をしただけだったようです。

そんなことに1時間も必要なの?とは思いましたが、エンジニアだからこそのやらなければならない重要な設定があったりするのでしょうか。設定をしながら、いろいろな説明に時間を割いていたのでしょうか。ITにちょっと詳しい素人がやったのではありませんので、私には考えが及ぶところではありません。

しかし、こんな話も。
「Macと違いWindowsは、設定が面倒だから調べないといけないことが出てきて・・・」
実際に、設定では少し手間取った時間もあったようで、MacよりWindowsは劣っているという説明をされたのだとか。

社長なんとも不満足な様子。しかし、コンサルティングはまだ始まったばかりだし、これをやらないと始まらないし・・・と、これからもっと成果が出るはず!と自分に言い聞かせているようでした。

エンジニアの業界にいない我々にはわからない部分があるとは思いますが、一般的に時間単価の高いITエンジニアですから、それだけの費用はかかるわけで、その1時間での成果が生成AIが使えるように設定しただけ、となるとさすがにちょっと首を傾げたくなります。

そして、一般的に、業務で使われているPCのOSといえば、Windowsです。
私の工場で使用するPCも全てWindowsです。理由は簡単です。コストパフォーマンスです。
設計・開発・生産技術などの技術部門で、CAD/CAM、CAE、3Dスキャン処理、シミュレーションなど、大量のデータをローカルで処理する場合は、高スペックが要求されますが、管理部門で利用されるような、メール、チャット、Officeツールを利用した資料作成、Web検索などのツールを動かすくらいの利用であれば、それは高スペックなPCが活躍する場面はほとんど見当たりません。強いていえば、画像や動画を用いたマニュアル作成くらいではないでしょうか。

したがって、社長のPCがそれほど高スペックである必要はありません。
稀に、最新のPCが使ってみたい、WindowsとMacの違いを知っておきたい、画面が綺麗で文字が読みやすい、デザインがよく持っていてかっこいい、ほぼ物欲・所有欲でMacを購入する、私のような人もいます。
しかし、やはり業務にはその欲は邪魔ですから、社内のPCは全てWindowsです。これらをMacで揃えたらいくらになるんでしょうか。かけた費用分だけの業務効率化の結果が出るのはいつになるのか、計算が必要です。

そのように考えるのは、実はIT企業も同じです。もちろん、全社員がPCを持っていなければ話になりません。iOS/macOSのアプリ開発では、もちろんMacでしか動きません。また、映像・音楽・印刷系など専用ソフトを使うことが多い仕事では、Macが必須となるでしょう。
しかし一般的に、業務システム開発、社内SE、.NET系開発など、多くのソフトウェアは、クライアント企業がWindowsを使っていることが前提の開発が必要ですので、Windowsが必要です。そのせいか、私が関わったIT企業の方のほとんどは、Windowsユーザーでした。

少し話がそれてしまいましたが、それくらいWindowsが一般的であるということです。

一方で、冒頭のエンジニアは、Macユーザーでした。「専門的」な知識を持っている方はやはりMacを使うのか、と。

しかし、コンサルティングとなると話は別です。
「一般的」な人への対応に、「専門的」な考え、意見、手法をそのまま提供してもいいのか?と考えなければいけません。
一般的な人が、専門知識を習いたいのであれば話は別です。操作するためにMacが必要、形から入るべき、どちらでも構いませんが、「専門的」な知識を身につけるために、Macが必須というのも、場面や条件が指定するものであり、専門家の「嗜好やこだわり」で指定されるものではありません。

冒頭の社長であれば、AI導入が目的ではなく、それを通じて経営を良くすること、儲かる会社にすること、社長に時間ができることが目的になります。
したがって、冒頭のエンジニアが考える、WindowsがMacに劣るというこだわりは、社長には全く関係のないことなのです。

1時間かけて行われた、社長のPCへの生成AIの設定は、依頼した社長には全くと言っていいほど何が行われたのかはわかりません。それは「専門的」な内容だからです。と言いたいところですが、ホントにそうでしょうか?

極端な話、社長にとっては、それをやったのがエンジニアであってもITに詳しい社員であっても、「自分にはその中身が理解できない」という点では同じ現象が起きます。専門的な内容だから理解できないのではなく、自分以外の誰かがやったから、理解できないのです。

そして、社長が、誰かに何かを依頼するということは、必ずそこには費用(支払い)が発生しています。それが社員に対する給与なのか、コンサルタントに対する顧問料やコンサルティングフィーなのかの違いはありますが、対応してくれる人を「信頼」してお金を払い、作業を行ってもらうのです。決して、エンジニアがやったから、社員がやったからというその人のステータスに対してではありません。
両者に同じ作業をしてもらったとして、ちょっとITに詳しい社員がするより、専門知識を持つエンジニアにしてもらった方が、安心感、納得感など作業工数以上のものが得られます。

ですから、エンジニアが何年もかけて積み上げてきた「専門的」な知識や技術は、社長にとって、自分のため会社のためになるのであれば、いくらでもお金を払う価値があります。しかし、その内容が、実は社内のちょっと詳しい社員でもできる話だったのか、と思った瞬間、それはエンジニアに騙されたと思わざるを得ない、「専門的」という「隠し事」に置き換わってしまうのです。
しかし、そうすることを決めたのは自分です。「隠し事」にそんなに高いお金を払ってしまったのかとは思いたくはないものです。

 

専門家に相談することはとても重要なことです。社長自身が今からその知識と技術を身につけ導入しようと思えば、あと何年後になるのかと考えると、コンサルティングはまさに、時間をお金で買うということです。

しかし、IT導入・AI活用は経営に必須だと言われていますが、IT企業が「なぜ、企業はシステム導入に失敗するのか」というセミナーを開かなければいけないほど、IT化の失敗例は後を立ちません。
システムによる業務の不具合がなければ成功なのか、システムを使える人がいれば成功なのか、導入前に比べ利益が増えていないと成功ではないのか、成功の定義が曖昧であることも失敗の数を増やしている原因かもしれませんが、とにかく、失敗が多いというのは、システム導入を決断した社長は「満足」していないということなのです。

理不尽なことに、どんなにダメな専門家、コンサルタントだったとしても、この失敗の原因は、そのコンサルタントと契約した社長となってしまいます。
本当に理不尽なことですが、会社の状況をちゃんとわかってそのコンサルタントを選んだのか、その分野、その部門に手をつけることが必要だったのか、その取り組みにそれだけの費用をかける必要があったのか、という経営判断の誤りだったと指摘され、受け入れざるを得ないのです。

 

コンサルタントを選ぶ際、専門領域に詳しいことはもちろんですが、社長自身が求めているものを汲み取ってくれる人なのか、経営判断が求められます。

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