column 67

67_経営者が知るべきコンサルタントの選び方

社長がいなくても回る工場は、
価値あるものに投資する
社長がいないと止まる工場は、
人の助けに依存する

経営者に必要な資格

会社の社長になるために、なんの資格も必要ありません。
しかし、士業の先生方などは、さすがにその資格がなければ、依頼する側からすればちょっと信頼度が下がってしまうかもしれません。病院も同じですね。オーナーが必ずしも医師免許を持っている必要はありませんが、他の病院、医局などとの連携のことなどを考えれば、やはり医師免許と経験は必要なのではないでしょうか。

私は、工場の社長をやっています。
持っている資格は、臨床検査技師、衛生管理者1級、ITコーディネーター、大型1種・・・。就職氷河期真っ只中での就職活動でしたので、何か資格くらい持っていなければと思いいくつか取ってはみたものの、現在の工場経営には、なんの役にも立っておりません。
それに、皆さん感じられたと思いますが、この資格を持っている社長が経営しているのなら、この工場に生産を依頼してみよう、とは思わないでしょう。。

さらに、工場経営しているのに、電子回路とかとても苦手。
自分は製造業に向いていないんじゃないかとさえ思うこともありますが、社長の仕事を考えた時、その要件はまったくといっていいほど必要ありません。

 

コンサルタントの存在

そして、「コンサルタント」と名乗るにも、なんの資格も要りません。

ただ、社長と違うのは、資格を持っていると信頼度は上がります。
中小企業診断士なら国家資格ですので、自社の経営を見てもらうにはまず一番に思いつくのではないでしょうか。行政を窓口にして紹介してもらうことが多いのではないでしょうか。
他には、大手企業出身者が、社内で実績を積み、ある程度の年齢になったら早期退職し、その経験を引っ提げてコンサルタントとして、自分の得意分野で困っている企業の支援をする、という方がとても多いのではないでしょうか。

私の工場でも何度かコンサルタントに来てもらい、支援をしていただきましたが、いずれもこの2種類のどちらかでした。

 

コンサルタントは、世の中に数えきれないほど存在しているようです。
はじめは胡散臭い、考えられないほど高額、騙されるんじゃないか・・・そんな悪いイメージを持っていたものでした。

行政からの紹介のない、独立系のコンサルタントに辿り着くのに、その情報に辿り着くことができないことも多くあります。しかし、妙に広告が多かったり、必ず儲かりますという広告を見れば、怪しいのではないかと思ってしまいます。しっかり情報集めをしなければ、なかなか辿り着けませんので、やはり一番に頼るのは、「行政経由の中小企業診断士」ではないでしょうか。

まずは社長が、行政に経営の困りごとを伝え、その内容を元に、登録されている中小企業診断士の中から、マッチすると思われる方が選ばれ、企業に紹介するというもの。

相談は3回まで無料などの設定がありますので、経営相談に出すお金がないと困っている会社は、選択肢がここしかないと言ってもいいかもしれません。

さらに金銭的に困っている場合、特に融資の返済が厳しくなった状態であれば、行政が間に入り、税理士、中小企業診断士、借入している銀行など、関連している機関が集まり、返済猶予してもらったりリスケしてもらったり、かなり強力に支援してもらえます。

 

しかし、銀行関係のある方から、こんな話を聞きました。

「返済猶予期間を設けたり、リスケして延命したり、制度的には対応できるけど、あなたの会社みたいに復活した企業はほとんどない。」

 

企業に必要な支援

お恥ずかしい話ですが、実は10年以上前、私が経営する工場も、その支援を受けないといけないほど危険な時期がありました。
それはもう、必死になって社内の改革や利益の出し方を考え直したり、不要なものは削減したりなどなど、いろいろなことをやりなんとか乗り越えたのですが、支援を受ける前にその話を聞いていたら、その時点で「もうダメか」と思っていたことでしょう。

そして、その時にとても重要なことに気づいたのです。

行政に紹介してもらった中小企業診断士も、返済猶予をしてもらう時に関わった中小企業診断士も、どちらも全くと言っていいほど役に立ちませんでした。

言っていることは、
Googleで検索すれば出てくるようなことばかりで、
決算書を見ただけで説明される、現場の実態とはかけ離れた改善提案、
銀行担当者の前で、私のダメさ加減を、なんの配慮もない言葉でこき下ろす、
今聞いたら机をひっくり返して帰って行ったかもしれませんが、その時は、それに耐えなければ事業が続けられないし、いろんな人に迷惑をかける。
そう思い、ひたすら耐える時間を過ごしました。

2年ほどで、返済してもキャッシュが残るくらいに復活することができましたが、その間、助言してもらったことなど、ひとつも行っていません。

それから10年以上経ち、現在自分がコンサルタントをやっているわけですが、「自分の仕事ってなんだろう」と考えていた時、不意にあの当時のことを思い出しました。

「あの中小企業診断士の仕事ってなんなんだ?」と。

経営者のコンサルタントを見極める力

そして、中小企業診断士の能力には愕然としましたが、同時に、行政は何をやりたいんだ?と思い、この派遣の仕組みを調べてみました。
なんど、支援のゴールが、我々経営者が思っている、求めているようなものではなかったのです。

専門家派遣での成果は、
「〇〇という課題を明確にすることができた」
「〇〇という課題に対し、こんな助言をした」

のように、アドバイスをすることがゴールで、経営改善した実態があるかどうかは関係ないようなのです。

そういうことであれば、行政が払う診断士への報酬は、その程度の額であることが想像つきますし、診断士もそれくらいの金額の提案や助言しかしないでしょう。

そしてこの仕組みも仕方のない制約というかルールがあるようで、
公費を使うので、特定の企業だけの経営改善に、全力で公費を注ぎ込むことができないとのことでした。
確かに、それはそれで納得しました。
その構造であれば、ああいう提案や助言しかできないのも納得です。

しかし、経営者は、じゃー仕方がないね、というわけには行きません。
藁をも縋る思いで、
誰にも言いたくないことを、
自分で自分のプライドを壊してまで
相談に行っているのです。

そういう経営者に対し、そういう対応、そういう仕組みでいいんでしょうか。
行政も専門家と言われる人たちも。

 

そして、
・事業が復活すれば、診断士が助言したから
・事業が継続できなかったら、怠惰な経営者

そんなジャイアンみたいな世界にハマらないよう、経営者はしっかり情報を集め、診断士やコンサルタントを選ばなければいけませんし、
診断士やコンサルタントは、何が支援できるか以前に、経営者がそういう思いで相談に来ているかもしれないというところを、汲んでほしいですね。

ボランティアで支援して、と言っているのではありません。
その程度のことを言って、やったつもりにならないでほしいですね。

 

社長がやるべき重要な判断

そして社長側も、考えなければいけないことがいくつかあります。
コンサルタントや診断士が今まで積み重ねてきた、自分では得ることができない知識、技術、経験を提供してもらうことで、かけた費用以上の利益を得るだけでなく、プライスレスな何かも得られるのです。
事業継続、離職率の低い職場環境、後継者への継承、社長がいなくても回る工場などなど・・・。

支援費用は上から下まで幅は広すぎますが、例えば自分の役員報酬より高いコンサルティング費用が提示された場合、

・その価値があるかどうかという判断、

・買ったらそれ以上の価値を生み出そうという覚悟、

それが社長がやらなければならない、「ビジネス」「経営判断」というものではないでしょうか。

ただより安いものはありませんし、その人の価値、その人の能力を値切るのは、ただの消費行動です。

 

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