ホームページコラム サムネイル画像85

85.やりたいことがないんじゃないですか?

社長がいなくても回る工場は
目的がある
社長がいないと止まる工場は
手段を追いかける。

 

私がよく聞く言葉の中で、とても気になるもののベスト3に入るもののひとつが、

「何から始めればいいかわからない」

というものです。
例えばセミナーや講座を受けて、講師から「質問ある人はどうぞ」って言われてるのに、何を質問すればいいのかわからない、そんな状況と同じなのではないでしょうか。
社長が社員を集めてひと通り話した後、質問ないですかーって声をかけても、「わからないことがわからない」と言われる状況とよく似ています。
経営者が集まっても、やはり同じ言葉は出てきます。
経営者の相談窓口となっている行政の方も、社長自身が、そもそも何を相談すればいいのかわからない、という方がとても多いのだとか。
これはちょっと事業拡大どころではありません。

そして、このような状況になるのは、特にIT導入やDX、最近ではAI活用についてよく起こっています。
IT系のサイトでも、何から始めればいいかわからない人向けに、「まずはこれさえ導入しておけば会社のIT導入をまるっと解決」というような、本当にそうなったらいいなーと思うようなCMをよく見かけますし、IT系以外でも、とりあえずたったこれだけの掛け金で将来安心、これひとつでだれでも若返る、なんて言っています。

改めてそれを思い返してみると、なんかちょっと怪しくないか?本当にそうなのか?って考えられるのですが、それを見ている間、
「会社のIT導入をまるっと解決」
「DXはこれだけでOK」
「これだけで最新AIを活用できる」
このような言葉がスッと入ってきて、とても魅力的に見え始めたりするものです。

このような状況、実はちょっと危険な状況であると考えるべきです。特に社長という立場であればなおさらです。

 

「何から始めればいいかわからない」この状況には2つのパターンがあります。

世の中のIT化の流れについていかないといけないんだけど、何から始めればいいのかわからない。
生産性向上のためにIT化をしたいから、何から始めればいいのか?
なのか、
〇〇をやるためにIT化したいんだけど、何から始めればいいのか?
これは似ているようで全く違います。

生産性向上は目的ではありません。生産性が向上すれば〇〇ができるようになる、という可能性があるというだけで、生産性が向上すれば解決するかといえばそれは別問題です。

ですから、「AIを使いこなした社長になりたい」という方も多くおられますが、目的を明確にしようとした場合、仕事の早い社長になりたいのか、社長の仕事のどの場面をAIに任せたいのか、その場面が想像できるでしょうか?
AIで何ができるのかもわからなければ、まずはAIでどんなことができそうなのか、そのような情報収集は必要です。ですからITベンダーやコンサルタントから情報収集することはとても大事なことです

しかし、AIがあればなんでもできそう、という漠然とした情報で、ITベンダーに相談すれば、それはもう「私はカモです」と言っているようなものです。
「これだけで最新AIが社長の仕事をやってくれますよ」
と、魅力的な言葉がスッと入ってくることでしょう。

社長の仕事は「経営判断」です。

「何から始めればいいかわからない」という状況は度々あるとは思いますが、相手に手綱を持たせてはいけません。

 

経営相談窓口に、「何を相談すればいいかわからない」という状況で相談するのも同じです。
決算書を見せ、悪そうな項目を見つけ、教科書通りの診断が下されます。その診断は数字的に間違いではないでしょう。では、どんな処方箋が渡されるでしょうか。
自分の会社の状況もわからず相談に行けば、こうなるのです。
自分の会社の状況もよくわからないまま、治るかどうかわからない処方箋通りに薬を飲む。このように相手に会社をよくすることを任せてはいけません。ガンも糖尿病も骨折も、医者が治してくれるのではなく、医学の知識と技術を提供するだけです。治すのは本人です。どの病院に治す相談しに行くのかも本人次第なのです。

そして、「何から始めればいいのかわからない」「何を相談すればいいかわからない」この二者に共通する悪い共通点があります。
それは、

「何がやりたいのかわからない」

というものです。
特に、いろいろな手を尽くしてきた社長ほど、そしてそれが思うような結果にならなかった社長ほど、そのような状況に落ちやすくなるのです。
直近2年程度までの見通ししか立ててられていない場合によく起こるものです。ある程度やることはやったと思ったその後にくる燃え尽き症候群のような感じにも似ています。
しかし、それでもそこで経営が終わるわけではない、だから何かしなければならない。でももうやることやり尽くして次の打つ手がない・・・。そのような状況です。

そして、もう一つのパターンがあります。
私はこちらの方がタチが悪いと考えますが、社長がやるべきことをいろいろやり尽くして、それなりに結果を出し、ある程度満足してしまっている状態です。

燃えるような意欲があった時、
売上を伸ばしたい。
利益を増やしたい。
工場を拡大したい。
設備投資したい。
支店を増やしたい。
毎年採用したい。
・・・

そのような悩みを抱えていた頃は、やることが明確でした。
そして、軌道に乗らなかった大変な一時期よりは会社は安定し始めました。
以前に比べればお金もあります。
このまま進めば、数年後には自分の思い描く会社になりそうなイメージもリアルに想像できるようになってきました。

さあ、次に何するか・・・。

実はこのタイミングで、社長の「やりたいこと」が突然見えなくなるのです。
サラリーマン時代に、体力もある、仕事も覚えた、権限も持つようになった、できることがたくさん増えた。そして、がむしゃらにやっていた30代を過ぎ40代に突入しようとした時、ふと自分は定年までこのままなのか?と疑問を抱くようなタイミングと似たようなものではないでしょうか。

そういう時に、フッと何か耳触りの良いキャッチフレーズが。
 なんか良くなりそうなITツールが。
 しかも出せない金額ではない・・・。
 積み立てておけば将来安心。
 どうせ使わないのなら保険とか投資とかに回してもいいか・・・。

これはとても危険な状態です。

 

あのITベンダーがいいツールを紹介してくれなかった、あのコンサルタントの言われるようにやったのに経営が良くならない、どちらでもありません。
相手は自分たちの専門分野から提案をするのが仕事です。それが具体的なシステムだったり支援プログラムだったりするわけで、どんなに優れているものであっても、どんなに高価であっても、的が外れていれば効果はないのです。
問題は、
「自分は何を実現したいのか」
が曖昧なまま相談してしまうことなのです。

社長も人間です。いつまでも高いモチベーションで、やりたいこと満載でいられるとは限りません。
そうでない時も必ず訪れると言ってもいいでしょう。
その時に、自分の現在地をちゃんと知ることができるか、本当に必要な支援、アドバイス、ツールに会うことができるか。
これを、絶対に人任せにしてはいけません。経営判断が必要です。

社長が次にやりたいことはなんですか?

次に進む準備はできていますか?

 

Book

著者新刊

社員だけで回って儲かる
「工場自動化経営」の3大ポイント

「カイゼン」を超える!自主的に動く仕組みづくりで、工場経営を自動化する。 現場で実践しながら指導する異色のコンサルタントが、空理空論一切なしで解説。

Amazonで見る →

Seminar

中小製造業・加工業のための
社長のAI活用経営法

最小限の投資で、生産性の大幅向上と自動稼ぎ装置化を実現する具体戦略

第1回

2026年 7月21日(火)

第2回

2026年 9月18日(金)

会場:東京・内神田(JCPO主催) オンライン参加対応 即時受付対応

▶ セミナーに申し込む