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75.AIにより退化するもの

社長がいなくても回る工場は、
AIが仕事の良さを増幅する
社長がいないと止まる工場は、
AIで悪さが炙り出される

SNSをクルクルとスクロールしてみていると、たくさんの広告が上がってきます。

その中に「プロンプトを覚えるだけで○○稼げる」「その作業を一瞬で終わらせます」のような、詐欺広告ではないかと思うようなものもたくさんあります。

そして、その内容は、プロンプトを覚えたら仕事が増える、副業で本業より稼げるようになったとか、会議前に手作業で作っていた資料をAIが作ってくれるようになったので、残業しなくてもよくなったとか、これを見て、自分もそうなりたい、そうなるかも、と思ってAIを使い始めたり、勉強し始めたりするのでしょうか。

入口は様々あると思いますが、実際に企業内で社員のみなさんは、どのようにしてAIを仕事に使い始めていますか?
SNSなどの広告を見て、みんな使っているしとりあえず使ってみようというのは、個人的な利用だと思いますが、会社内では、会社が許可したライセンスで使える生成AIを使っているという感じでしょうか。そうなると、あれもこれも使ってみる、ということはできないかもしれませんが、会社が準備してくれたものであれば、使わない手はありません。

私の会社でも生成AIの利用許可を出しています。ライセンスを付与して使ってもらっていますが、実際にどんなことに使っているのか、具体的な細かい部分までは把握できません。

考えられるのは、トラブルが起きたときの対処方法、使用している部品や設備のメーカー仕様書の検索など、結局Google検索と特に変わらない使い方をしていたりします。

特に生産現場での作業が多い社員にとっては、PCに向かって資料作成などをすることもあまりありません。
しかし、現場で起こったことを記録する、トラブルにどのように対処したのか、故障した設備をどのように修理したのか、今後どのような対策を行うのか、このようなことが口頭で終わってしまってはいけません。

したがって、現場で実際にその作業を行った人によりPCを使っての記録が必要になります。あるいは、未だに紙の資料に記録しているところもあるかもしれません。

この現場で起こった内容を、上長や社長まで共有したときに、少なくとも何がかかれているのか理解できる「文章」でなければいけません。

多くの企業で、この「文章」の質、さらには「文章」の有無が、大きな問題になっています。

作業マニュアルが無い、質が低いなどのことが起こっていて、とても引き継ぎに使えるようなものになっていません。
生産現場の社員は、文章を書くことが苦手、あるいは文章を書かなくても仕事になる仕事を選んでいる人たちも多くいます。そういう視点からしても、文章の問題、言語化の壁、さらに技術の継承の問題に直結しています。

 

そんなところに、2023年、生成AIが突然登場しました。

会話をするようにチャットができる、Googleで検索ワードを気にせず調べたいことをLINEをするように入力すればいい、そして精度の高い日本語で返してくれるのです。

とても衝撃的でした。

あれから数年たち、現場で生成AIが日常的に使われるようになってきましたが、実際どのように使われているかというと、とてもその恩恵を受けているようには思えません。

 

ある会社での会議の話です。
毎回、事務局役の社員から会議の議題が事前に公開され、現場の社員はその内容を準備して会議に参加します。

以前は、時間がないといって準備もおろそかな状態で参加するものもいましたが、最近では必ず入力されて会議を迎えることができているそうです。

しかし、その中身はというと・・・。

今まで、彼が書いていた文章からは想像もできないような、流暢な日本語。口にしたこともないであろう、○○でございます。××を承りました。のような違和感のある丁寧な言葉。明らかに、自分で作成した文章ではなく、生成AIが作成した文章だとひと目でわかります。

会社側が使用してもよいと言ってライセンスまで付与しているわけですから、生成AIを使っていること自体それは否定するものではありません。違和感のある丁寧な言葉が使われていたとしても、それは許容範囲でしょう。

いちばんの問題は、中身がないことです。
社員がどんな風にAIにプロンプトを投げたのかわかりませんが、明らかにAIに提供した情報が少なすぎます。それを無理やり文字量を増やそうとした文章になっているのです。

これでは本末転倒です。

 

生成AIを活用しようと思えば、AIが考えるための「一次情報」がとても重要になります。この情報を与えずしてどんなに思考を深く考えてみても、誇張して話すことはできても、新しい情報が出てくることはありません。

したがって、現場が持っている一次情報をどうやってアウトプットしてもらうか、これがとても重要な要素になってくるのです。
その情報の質は問いません。ため口でも方言丸出しでも何でもいいんです。
上司にかしこまって言う必要もなく、普段のしゃべり言葉で構わない。
たくさんの情報があるほど、AIは様々なことを考えることが可能になります。
それは当然人でも同じことです。部下からの報告もなく、上司は何を考えればいいのでしょうか。

生成AIが出てきて、より現場の社員がアウトプットしやすい環境になっていると思うのですが、なかなか思うようにいっていないのが現実のようです。

しかし、この会社の会議では、事前情報がすべて埋まるようになりました。文章作成時間も生成AIが作ってくれるため時間削減になり、生産現場を止めることがなくなりました。上司が読んでも部下に聞き返すことなく理解できる文章になってくれました。

この工場の社長は、どうにか導入してよかった点を絞り出していますが、これをメリットと言っていていいんでしょうか・・・。

どんなに生成AIが賢くなったとしても、生産しているのは人間です。人間にしかできないことが、ここにもあります。

あなたの会社では、生成AIをうまく使いこなしていますか?
また、現場の社員は、作業者から上長まで、人がやるべきことを実行できていますか?質・量ともに進化していますか?

生成AIに聞くと、登場したばかりの生成AIは、今の最新のものと比較すると、人間で言うと偏差値50が70になるくらいの差があり、できることが変わっていると言っていました。

普通の高校生が、3年で超難関大学を目指せるようになった、ということですね。

人はそれくらい進化したでしょうか。

 

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