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74 効率化をすべて台無しにする会社

社長がいなくても回る工場は、
役割分担が設計されている
社著がいないと止まる工場は、
断れない社員にしわ寄せがいく

 

数々の改善を行い、工数削減をしてきたのに、一向に残業時間が減らない。このような事例は数多くあります。

ある工場の事例です。

コピー機で行っていた紙の資料のPDF化を、高速スキャナーに切り替え、工数減少。
紙の資料をなくしてスキャナーも使わずPDF化も不要にする。
Excelからの入力ではなく、クラウドサービスを利用してExcelをなくす。

特定の作業者の負担になっていたこの作業、通常時間内では生産に終われるため、残業時間にするしかなかったようです。記録の保存方法など、ルール的なものや技術的に対応できるかどうかもクリアしていきながら、徐々に作業時間削減を行ってきました。

最初の状態から考えると、この担当者が行っていた作業はなくなり、1時間以上の削減になっていて、残業も0になるレベルでした。

しかし実態は、勤怠管理データを見ると、退社時刻はほぼ変化なく、その時間帯の作業がなくなっているはずなのに何かやっている様子。

周りの社員に様子を聞いても、「何をやっているのかよくわからない」
上司に聞いても「早く帰ればいいのに」
と、聞いた感じよい評価ではありません。

その実態は

実態を調べていくと、どうやら今までの作業とは全く異なる作業をやっていたのです。

電話に出たり、メールの返信文を考えていた、データを確認したり、自分の仕事のメモや記録を振り返り明日の準備をしたり、生成AIに相談してみたり・・・。

聞いた感じ、とてもこの人のやる仕事ではありません。

では、なぜこの作業者がやっているのか。という疑問がわいてきます。

 

当然、当の本人にも何をやっているか聞いてみます。
普段からダラダラと怠けて仕事するような人ではなく、自ら率先して動いてくれる人です。無駄な仕事を自ら増やすようなことをするような人ではありません。

そのため、本人に「PDFを取る作業なくなったのに、残業時間に何しているの?」と無神経には聞きにくいものです。

実際に聞き取りをしてみても、「自分の仕事が遅いから」とか「これやったらすぐ帰ります」とか、なんだかはぐらかされるような返事しか返ってきません。

周りはそう言うし、本人もああ言うし、返答に接点が見つかりません。

 

しかし、あることをきっかけに状況が見えてきました。

取引先の担当者から「○○さんの対応にすごく助かっています」と。

これを聞いた社長は、「それはよかった」と言ったか言わないかも覚えていないようですが、実際には「なぜ○○さんがあの担当者とやり取りをしているんだ?」という見当たらない接点を、頭の中を巡っていたとのこと。

そして、あの話ならあの上司だろうし、この話ならそっちの部署の話だろうし・・・などなど、自分が想像している部署の機能や人員配置、担当する範囲など思っていたものととてもずれていたというのです。

 

雑用か仕事か

生産現場の人にとっては、生産以外はほぼ目に入っていません。紙の資料をPDFにすることなど、自分の仕事とは思っていません。そして、取引先の担当者とのやり取りも、自分がするものではないという認識があるだけで、他の誰がやっていようと関係ありません。
生産現場の人にとって、それらの仕事は雑用なのです。

現場の上司はどうでしょうか。

「早く帰ればいいのに」と言っています。○○さんがやっているその仕事が雑用という扱いになってしまっているのです。よく聞けば、今まで自分がやっていたようなことを○○さんに振ったのだとか。なぜ振れるのかと言えば、雑用と思っている、自分がやらなくてもいい雑用と思っているからです。だから簡単に振り、サッサと終わらせられるものと考えているのでしょう。

そして、○○さんはと言えば、

とにかく真面目で、頼まれたら断れない、責任感もあり自分だけで抱え込む。だれもやっていないのに気付くと誰かがやらないとと思い、手を出してしまう、この社員にはまだ任せられないから・・・などなど、しわ寄せをすべて抱えていたのです。

PDF化する作業がなくなり、残業時間が無くなるはずだった○○さん。周りからは△時までは残業しているよね?という固定化された体制は固定したまま、効率化されたと見るや否や、雑用扱いされた仕事が流れ込んできていたのです。

 

会社の構造は?

このまま状況を知らないままだと、改善したのに残業し続ける社員、雑用ばかりしている社員、とおかしな評価をされかねません。また、評価制度的にそれに悪影響がなかったとしても、社内ではそのようなレッテルが貼られてしまいます。
これが続けば、間違いなく組織や職場環境は悪化します。改善により起こる大きな副作用の一つです。

人の能力の問題ではありません。

会社の構造的な問題です。

頑張る人ほど仕事が増え、
表面上は回っているように見え、
やがてその人が限界を迎えて離脱する。

このままでは、真面目に頑張ってくれる人からいなくなります。

効率化は余力を生むことはできます。しかし、その余力のコントロールができなければ、それは単なる「新しい仕事の受け皿」になります。残業が減らない会社に共通しているのは、人に頑張らせていることです。

残業が減る会社は違います。

構造でコントロールしています。

断れない人に仕事が流れていく構造になっていませんか?

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