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87.社長のためのAIの使い方

社長がいなくても回る工場は、
社長が決めてAIに任せる
社長がいないと止まる工場は、
AIに相談して社長がやる

ある工場の社長に久しぶりに会い、会社のことについて話をしたときの内容です。
ざっくりいうと、

「AIに相談したり、資料を作成してもらったり、いろいろ便利にはなったけど、それで経営が良くなったか?」

という話です。

だれもが一度は陥る悩みではないでしょうか。
今まで、キーワードを入れて検索していたことが、普通に人に話す風に入力すれば答えが返ってきます。こちらが何となくしか考えが整理できていなくても、それを汲み取って言語化してくれますし、解決策も出してくれて、更には、寄り添ってもくれます。

こんなに何でも言える部下、同僚はなかなかいないものです。
まして、経営に関することとなれば、人に言えないこともたくさんあるでしょう。言葉に出して聞いてもらえるだけで、今までにない効果を感じている社長は多いのではないでしょうか。

しかし、冒頭にあげた会話の内容の通り、ではそれ以上のことはあるのか?と、一息つくと出てきてしまうわけで、結局さっきまで一生懸命やり取りしていたのは、タダの雑談?愚痴吐き?ストレス解消?というレベルで終わっていることが多かったりします。
そして、わからないことがあればすぐにAIに相談とか、自分の言いたいことを代わりにAIに作成してもらうとか、自分の能力が落ちていくのではないかという心配まで出てきてしまっています。

しかし私は、社長という立場であるなら、AIは絶対に使うべきだと考えています。

社長の仕事の道具は、「脳みそ」だからです。

「現場は社員に任せている」とカッコよく言い切る社長もいます。しかしこれが、実は現場に丸投げで実際に何が起こっているのか把握できない、といったことはたくさんあり、クレームや社員の退職など、目に見える問題として気付いた時にはもう手遅れ、なんていうこともあります。

そして、その時々で、何が原因だったのか、どんな対策を取ればよいのか、どんな社長でも必死で考えるはずです。

このような状況になってしまえばだれもがそのようにするでしょう。

しかし、本来は、問題が起こる前に「現場は社員に任せている」と言い切れる仕組みを、現場の中に構築しておかなければいけません。丸投げして問題が発生するというのは、この仕組みが構築されていないからです。

 

その仕組みをだれが作るのかと言えば、当然社長しかいません。
工場でクレーム対策や生産性向上のために改善を行うなどすると思いますが、これはあくまでも「改善」であり、仕組みではありません。

現場の社員ができることは、決まってしまっている仕組みの中での改善、
社長がしなければならないのは、仕組みそのものの構築です。

したがって、現場ではクレームが発生しないように事前に○○する、発生してしまったら○○の対策をする、のようなことはできますが、根本的にこのサイクルを止めることはできません。予防、発生、対策、これを繰り返しているうちは内容や場所が変わるだけで、工場の仕組みは変わっていないのです。
人によっては、このサイクルを仕組みという人もいます。しかしそれは現場の人たちでできる範囲の仕組みづくりということであり、経営ではありません。

では、社長は何をすればよいのか、ということになります。
今まで、製造業と言えば○○、というようなことを真面目に取り組んできた会社こそ、この問題にぶつかります。

社長は、営業して仕事を取ってくる、新卒採用のことを考えたり、商品開発のことを考えたり、職場環境のことを考えたり、金融機関との交渉のことを考えたり・・・小さな会社ほど社長がやることはたくさんです。
正直、現場の改善など、やっている暇はありません。

しかし、本業である、稼ぐところである「現場」さえちゃんと運営できていれば、事業として回転するという側面もあり、どちらが先でどちらが後か、ということでもありません。

それでも、社長の仕事は何かと考えれば、大きく言えば、「社員がやらないことすべて」です。

営業職を雇えば社長の負担は減るでしょう。
人事、企画、開発、経理、情報システム、、、これらのことをやってくれる社員がいれば、先ほど挙げた社長の仕事の多くを引き受けてくれることでしょう。

しかし、中小企業でそれだけの人を確保しようとすれば、それだけの規模の売上が必要です。

何が言いたいのかというと、この段階から社長の仕組み構築が始まっているわけです。こんなことを考える社員はいません。
売上が少ないから社員を増やせない、工場を大きくできない、という見方がよくされますが、実際は、現状のそれだけの人数では、今以上に生産量を増やすこと、売り上げを上げることが不可能なはずです。
カイゼンなどで多少効果は出るかもしれませんが、会社の規模や経営状況が変わるほどのインパクトはありません。もしそこまでの影響があったとすれば、それは、それまでがよほど悪すぎたのであり、ようやく正常に戻ったと考えた方がよいです。

冒頭でAIの話から切り出しましたが、ここまでAIが出てきません。
ここからAIについて話します。

AIをこの段階まで使わない、
というのが私は正しい使い方だと考えています。
自分の会社をどれくらいの規模まで成長させたいのか、
その成長過程で、どんな社員を雇っていくのか、どんな機能を揃えていくのか、
どんな建物の中でどんな生産ラインを並べて、何を作るのか、
社長自身はどんな人生を送りたいのか・・・

などなど、経営をするには様々な前提条件が揃っていないと機能しません。AIに相談して、世の中のネット上に出回っている情報から一般的な内容を教えてもらうことはできるかもしれませんが、その通りにすれば経営できるという正解ではないことは誰もがわかることです。ヒントにする程度で、社長自身が決定し実行していかなければならない部分です。

多くの社長が、「無我夢中でモノづくりをしていたら、ここまで来た」と言います。特にご年配の創業何十年の社長です。次々と頼まれるオーダーを、品質重視で作ることだけに無我夢中だったため、会社の仕組み構築など考える余裕もなかったのです。

しかし、時代は変わりました。

仕組みの構築までAIに任せられる状況かもしれませんが、この部分は「意思」を持った社長がしなければいけません。

そして、仕組みの中でどのように業務を回すのか。これはできるだけ誰にでもできるようにすることが必要です。属人的な作業になってはいけません。

この属人的な作業をいかにルーチンワークにするか。
ここにAIがかなりはまります。
属人的な作業とは、言い換えれば、特定の人にしか判断できない作業ということです。誰でも判断できる環境にするだけで、だれにでもできるルーチンワークにする可能性が出てきます。

まずは、社長が考えている「判断基準」を明確にしなければいけません。その作業には、AIは最適なパートナーです。
そしてそれは、現場の社員よりはるかに優れています。
雇うことが必要だったかもしれない、営業、人事、企画、開発、経理、情報、、、などの社員の仕事の多くを、AIで完結することができてしまいます。しかも、それを外部に委託せずとも可能です。

AIは、IT部門がやるもの、専門のエンジニアにしかできない、と考えている社長もいます。
しかし、これは本当にもったいない話です。

社員が使えば、業務効率が上がるかもしれません。
社長が使えば、経営が変わります。

 

 

 

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